Be Innovative -踏み出せ、道を拓け-
FUJIFILM Value from innovation

デジタルマーケティングで
もっとお客様に
寄り添えるメーカーに

デジタルマーケティング担当

インターネットを通じて
顧客を知り、顧客に働きかける

写真分野で培った先進独自の技術を起点にデジタルカメラから医薬品まで、数々の製品・サービスを世に送り出している富士フイルム。その原点にあるのは、「素晴らしいものを作る技術力があれば、必ずお客様に評価していただける」という、モノ作りにかける信念だ。
富士フイルムグループでは、インターネットの戦略的活用においてグループをリードする役割を、ある部門が担っている。この部門では近年、モノ作りの力に加えてデジタルの世界に隠されたお客様の声を活かし、よりよい製品・サービスを作り出す活動に力を注いできた。それが、デジタルマーケティングだ。活動内容は大きく二つ。一つ目は、購買情報やホームページのアクセス情報の精密な分析をもとに、誰が、いつ、どんな製品を欲しがっているか、ターゲットの特性を割り出すというもの。二つ目が、製品やサービスにマッチした顧客とのコミュニケーション。Web広告や特設サイト、SNSなどを用いて、適切なターゲットに、本当に求められている情報をお届けすることで、効果的な販促活動につなげようとしている。さらにこの部門では、こうした一連の活動を、デジタルカメラや化粧品などのB to C製品から、産業用機材などのB to B製品分野へも拡大すべく、様々な試みを行っている。
富士フイルムにとってデジタルマーケティングとは、単に「Webを使ったマーケティング」ではない。技術に立脚した「プロダクトアウト」の強みと、消費者のニーズを把握する「マーケットイン」の視点を組み合わせる従来の活動を、デジタルの力を使って圧倒的に加速していく方法なのだ。
この部門で新たな挑戦しているのが、2012年に入社した彼だ。
「大学時代にeコマースに関するゼミに入った事がきっかけで、ITの可能性を強く感じました。そして、就職活動をする中で知ったのが、富士フイルムでした」。
ではなぜ、あえてIT企業を選ばず、富士フイルムへ就職したのだろう?
「一言で言えば、未来への可能性です。企業研究をするうちに、写真フィルムの技術を起点に化粧品・医薬品へと新規参入を積極的に行っていることを知り、ここなら新しいことに挑戦できる、と思ったのです」

勘や経験ではなく、
データ重視の
販促活動で大きな成果が

そんな彼が入社2年目で任された大きな仕事が、「フジカラーリメイクサービス」のマーケティングだ。
「フジカラーリメイクサービスとは、写真のネガや8ミリフィルム、VHSのような磁気テープのメディアなどを、当社がお客様からお預かりしてデジタル化し、お届けするもの。再生用の機器が壊れたり、製造中止になるなど、昔の映像を鑑賞することが難しくなった時代に、それらのメディアに記録されたデータをDVDなどの再生可能なメディアに移し替えることで、楽しんでいただけるようにする、価値の高いサービスです。しかし、私が担当に任命された2013年当時は、デジタルマーケティングは一切行われておらず、売り上げも芳しくありませんでした」
デジタルマーケティングの実績がない中で、何から手をつけるべきか。彼がまず始めたのは、過去の購買データからターゲット層を絞り込むことだった。 「分析を始めると、購買層は50〜60代の男性が多いことが分かりました。また、8ミリフィルムを長年保管していることなどから、生活に比較的ゆとりのある人が多いということも徐々に見えてきました。こうした情報を組み合わせながら、ターゲットの特性を細かく割り出していったのです」
その後、デジタルマーケティングを実施したフジカラーリメイクサービスは、彼の予想通り、潜在ニーズを持ったターゲットに販促活動をフォーカスすることで、着実に販売実績を伸ばしていった。しかし彼の挑戦は、そこで終わらない。
「データを分析すると、このサービスは見積もり後のキャンセルが多い、ということが見えてきました。お客様から実際にお預かりするまでメディアの状態がわからず、多くのケースで追加料金が発生していたからです」
送られてきたメディアを詳細に調べると、テープにカビが生えており追加のクリーニング料金が発生してしまうことがたびたびだったのだ。
「この状況を改善するには、一定のオプション料金を支払っていただくことで、劣化の程度に関わらず作業を請け負う定額プランの導入しかないと思いました」
こうした彼のアイデアには、当然ながら慎重な社員も大勢いた。「大量にカビが生えたメディアが数多く届くようになったら、作業が立ち行かない」「このビジネスに携わった経験のない君に何がわかる」――これに対して、彼はカビの発生についてのデータをベースに、そうしたメディアの発生確率を予測。定額料金にしてもビジネス上の問題はないことを、関係メンバーに説明して回った。そして、定額サービスの導入にこぎつけ、見事キャンセル率を大幅に引き下げることに成功したのだった。彼は振り返る。
「問題を発見できれば、解決策を考えることができるし、その内容を関係者にロジカルに説明すれば前進できる。つまずいても、もう一度原因を究明して、次の行動に移せばいいんだと確信できたんです。データ分析で課題を発見し、解決策を立案して実行、そして検証する――そのサイクルの繰り返しによって、ビジネスも私自身も成長できた気がします」
「とにかく、毎日ひたすら分析しまくってましたからね」。彼は当時を思い返して微笑む。その表情に浮かぶのは「丁寧に分析ができたからこそ、的を射たマーケティング活動ができた」という自信だ。
経験や勘が大きな役割を果たしていた従来のマーケティングとは違い、デジタルマーケティングでは、データの正確な分析が必要となる。しかし本当に重要なのは、その結果から現状の課題を慎重に読み解き、最も有効な解決策を導くことなのだ。

一人でやりきる。
強い覚悟が生まれた
欧州での活動

そんな彼に2017年春、新しいミッションが告げられる。欧州の現地法人では、BtoC,BtoBの幅広い事業を展開している。その中でも、今回担当したのは、医療機器の営業支援を、デジタルマーケティングを活用して行うというもの。任期は半年間。彼にとって、初めての海外業務だった。
「それまでは国内市場しか担当したことがありませんでしたし、英語も大学入試で勉強した程度。辞令が出てからは、出社前に毎日2時間、語学学校の早朝コースに通ってひたすら実践力を高めました。それだけでは不安でしたので、Webの英会話サービスで毎日会話を練習。さらに、現地担当者との想定問答集などもすべて事前に用意して、渡航の日を迎えたんです」
しかし、最大の試練はそれではなかった。
「語学力不足は私自身で解決すべき問題ですが、実は欧州の現地法人は、デジタルマーケティングの認知度がとても低い状況だったのです。というのも、そもそも欧州地域には私の所属部門に相当する組織がありませんでしたし、営業スタッフの活躍のおかげで業績は好調。最前線のメンバーは、新たなマーケティング手法の必要性をそれほど感じていなかったからです」
厳しい状況にたった一人。助けてくれる人は、そばにいない。まさに、彼の社会人生活にとって最大の武者修行と言えよう。
それでも、と彼は振り返る。「徐々に覚悟が生まれてきました。何かあれば先輩社員がサポートしてくれたこれまでの環境とは違い、自らが現場で判断し行動しなければならない――そうした環境に放り込まれたおかげで、自立心が強まりました。仕事とは、みんなで助けながら進める一面もありますが、最終的には、自分で動くしかないんだな、と」
こうしてスタートした彼の活動だが、やはり当初は、どのキーマンにあって話をしても、関心を示してくれることはほとんどなかったという。
「その最大の理由は、私自身が一方的にデジタルマーケティングの価値をアピールばかりしていたからだと思います。そうした態度は、自分が気づかないうちに、相手の営業としての自尊心を傷つけていたのかもしれません」
苦戦を強いられながらも、今のうちにデジタルマーケティングへの取り組みを始めなければ、気付いたらライバル企業に引き離されていることにもなりかねない――後には引けないが、前にも進めないという状況で彼が選んだ策とは、「デジタルは通常の営業活動のサポートになる」というアプローチだった。むやみに現場の危機感を煽り、デジタルマーケティングの導入を促すのではなく、デジタルデータの分析によって得られた潜在顧客の情報を提供することで、営業スタッフを側面からサポートし、そこからデジタルマーケティングへの関心を高めようということだった。
「方向転換が成功したのか、初めは戸惑いを覚えていた欧州のスタッフも、徐々に私の提案に理解を示し、ぜひ相談に来て欲しいと、私宛にメールが寄せられるようになりました。このように徐々に信頼関係を築き上げた結果、一つの成果を出すことができました」
それが、欧州初となる医療機器分野でのデジタルマーケティングだ。コンテンツの作成は欧州スタッフ、広告のデザインから配信までは日本国内、という分業体制を敷き、なんとか実施にたどり着くことができた。

自社サイトから得たデータで
いつの日か、画期的な製品を

半年間の武者修行から帰国した彼は、現在、お客様の複数の画像からオリジナルのアルバムを作成する「フォトブック」のデジタルマーケティングを担当。日々精力的に活動を行っている。
「今後は、サービスの価値を分かりやすく伝える広告展開をしながら、メインターゲットである子育てママ層に効果的なメッセージが何なのか、様々な手法で分析していきたいと思っています」
入社2年目の挑戦、欧州での活動、そしてフォトブック。次々と活躍のステージを広げてきた彼は今、デジタルマーケティングの未来をどのようにとらえているのだろうか。
「デジタルマーケティングの技術は日々進化を遂げています。例えば、AIを用いたマーケティングオートメーション。これを応用すれば、一人ひとりのユーザーに最適なコミュニケーション用テキストを自動で生成し、
配信することもできます」続々と登場する新技術が、どんな未来を見せてくれるのか――最前線で活躍している彼にとって、楽しみでないわけがない。「でも、それ以上にやりたいことがあるんです」と、彼は目を輝かせて熱く語る。
「当社ウェブサイトへのアクセスから得た顧客の情報には、本当のニーズが隠れています。それらをきちんと分析し、商品開発に活用できれば、真に顧客起点の商品が作れるようになるはず。どこまでも、お客様の声に寄り添い、お客様のための商品作りを追求する――デジタルマーケティングはデータ分析とイコールであるかのように思われがちですが、データを通じて、変化を続けるお客様の“心”に本当に近づくことこそが本質なんじゃないかと思うんです」
メーカーの存在価値とは、製品を作ることではなく、製品を通じてお客様のお役に立つこと。その原点に気づいた彼であれば、いつの日かきっと、デジタルマーケティング発の新商品を生み出せることだろう。

※ 部署名・インタビュー内容等は、
2018年3月時点の取材内容に基づきます。

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