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No.06 共創から生まれた、新しい色彩美!レインボー染料

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リケジョ リポーターの潜入取材 INNOVATION REPORT ヘアカラーに、革新的な“美”の誕生!富士フイルム×花王の共創から生まれた『レインボー染料』にトキメいた!!

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PROFILE [ リポーター紹介 ]

  • 写真:渡辺 悠子

    渡辺 悠子[ YUKO WATANABE ]

    プロフィール

TECHNOLOGY [ 技術紹介 ]

富士フイルム×花王の共創により実現した、まったく新しい“美”の可能性をもった
ヘアカラーリング『レインボー染料』についてイノベー ションリポーター渡辺が、
花王の飯島さん、富士フイルムの藤田さん、石綿さん、五所さんにお話しを伺いました!

写真:富士フイルム(株)ファインケミカル事業部マネージャー 五所さん 富士フイルム(株)R&D統括本部有機合成化学研究所研究マネージャー 藤田さん 富士フイルム(株)R&D統括本部有機合成化学研究所 石綿さん 花王(株)開発研究第1セクターヘアケア研究所室長 飯島さん イノベーションリポーター渡辺

[ファインケミカル事業について]渡辺 : 富士フイルムさんのファインケミカル事業では、
どのようなことに取り組まれているのでしょうか?

五所(富士フイルム) : はい、富士フイルムは、長年写真フィルムの開発・製造に携わってきた化学メーカーです。高度な合成化学技術を活用し開発した約20万種の化合物ライブラリーを保有しています。ファインケミカル事業の重要なミッションのひとつに、これらの化合物を出発点に、様々な分野のお客様と共創・協業し、世の中に新しい価値をもつ高機能化成品・材料を提供することがあります。今回は、このミッションを具現化した、オープンイノベーションの成功事例をご紹介したいと思います。

[レインボー染料について]

渡辺 : 今回、富士フイルムさんと花王さんの協業で生まれた新しいカラーリング技術についてお話を伺わせていただくのですが、はじめは花王さんが新しい染料を探していたのがきっかけだったと?

飯島(花王) : 2000年頃になりますが、世界的に新しいヘアカラー染料の開発が活発に行われておりました。特にファッション性の高い鮮やかなヘアカラーが流行となり、色彩の美しさをどう表現していくかというのが、染料開発の1つの競争軸になっていました。
花王の中でも独自染料の開発に着手したいと考える中で、富士フイルムさんは写真用染料をはじめとしたその道のプロフェッショナルですから、ぜひその知見をお貸しいただけないかと相談させていただいたのが始まりでした。

渡辺 : “より美しい色彩を実現する”という目的があって、染料のプロと手を組んだというわけですね!

飯島 : はい。ただご存知のように、ヘアカラーは美しい髪色を提供する一方で、使う時に多大な手間や負担がかかる製品でもあります。従いまして、色彩のキレイさはもちろんですが、より使いやすい製品として仕上げていきたいとの思いもあり、ヘアカラーのエンジンである“染料の基本性能”をどれだけ追求し、向上できるかというのは、同時に重要な要素となりました。

渡辺 : ヘアカラーにおける染料の性能というと、具体的にはどのような?

飯島 : 大きく二つあり、「美の性能」と「使いやすさの性能」になります。「美の性能」としては、発色がよく色彩の広がりを生むために、高い彩度の三原色が必要となります。加えて、美しい髪色が長く維持されるためには、毛髪内に染料が長く留まることが重要になります。
一方「使いやすさの性能」ですが、特に髪だけを染め、生え際などの肌を染めない特長は重要なポイントであり、製品上での簡便・安心につながっていきます。

渡辺 : 美しくて、髪だけを染めて、長持ちして、安全性の高い染料!私のようなユーザーの立場からだと「それイイネ!」って気軽に思っちゃいますが、そんな夢のような染料ありませんか?ということで富士フイルムさんは難しい相談を受けたということですよね。

石綿(富士フイルム) : ええ、最初は「毛染めの染料ありませんか?」と聞かれてびっくりしたという感じでしたね。笑
当時、富士フイルムは髪の毛を染めるということはやったことがありませんでしたが、例えばインスタントカメラ(チェキ)などをはじめとした写真用に加え印刷用インクなどの染料の知見が豊富にあり、染料だけでも4万種を超えるライブラリを保有していました。
そこでまず今回の目的に使えそうな特長的な染料をピックアップして、スクリーニング的に花王さんと試していったのが第一段階です。1年以上の試行錯誤の末、皮膚ではなく、髪の毛だけを選択的に染めるような構造を見出して、今度はそこをスタートに、しっかり持続的に染めていくという機能を持つように進めていきました。

渡辺 : 髪の毛だけを染めるというのは、脱色した髪の毛の中に染料が入っていって、そこに留まるという仕組みだと思うのですが、特に苦労された点などはありますか?

石綿 : 染料は毛髪のキューティクルの間から浸透していきます。その隙間は、非常に狭いので、染料の分子そのものを小さくしていかないといけません。必要な、乗せたい機能がたくさんある一方で、小さくしなければならないというのが難しい点でした。一般的には、分子に対して必要な機能をぶらさげて大きくしていくというイメージですが、今回はそうはいかない。美しく、ちゃんと持続して、光に対して安定であり、溶解性を持つなどの機能を全部小さな染料にいれこんでいるというのが、今回の「レインボー染料」の大きな特長になっています。

渡辺 : 充分な機能を備えたいけど、小さくしたい!という相反する要件を両立できたんですね!

飯島 : はい、そうして富士フイルムさんと試行錯誤しながら創ってきた染料候補を、我々花王が、製品の視点からどれだけの性能優位性を有しているのかを評価、さらには安全性の確認を含めた評価など、それら一連のやりとりを5年くらい行いました。最終的に検討された染料構造は、だいたい1000種くらいになるのではないでしょうか。

渡辺 : すごい。そういう労力と時間の結果、より美しくて革新的なヘアカラーができていくんですね!

飯島 : 実は1つ、ぜひ紹介したい新発見の技術があるんですよ。

渡辺 : 新発見!なんですかそれは!?

飯島 : 今回のプロジェクトのスタートは、これまであったヘアカラーの課題をどう解決していくか?という、性能向上の考え方だったのですが、富士フイルムさんと協業することで、これまでになかったような“美しい色彩”を創りだす技術を発見しました。
先ほどお話がありましたが、毛髪の中に浸透しやすい構造を富士フイルムさんに創っていただいたわけですが、その特長を深く理解していく中で、染料を浸透させる深さを自在にコントロールする技術を創ることができました。それにより、毛髪内の外周部に、リング状に染料をとどめることができるんです。こちらのモデルをご覧ください。

写真:中心部の青色に対し、外側だけ約30%の深度で赤色に染めたモデル

写真:中心部の青色に対し、外側だけ約30%の深度で赤色に染めたモデル

渡辺 : リング状に、この赤い部分が染料で染まっている部分ですね?

飯島 : はい。中心部の青色に対し、この場合は外側だけ約30%の深度で赤色に染めてあります。このように髪の毛を2重に染め分けると、髪の毛に光が当たったとき、光路によって、色が変化してみえるという効果を発現できることが分かりました。古来より、特別な色と言われてきた「麹塵(きくじん)」を用いた織物は、同様の原理で美しい色彩を実現しています。これを髪色でも表現できるというのは我々にとっても新鮮な驚きでした。

渡辺 : わ、ほんとだ!外からみると赤くそまっているのに、ライトで照らす角度によっては青い光が別の向きに出てきますね!

飯島 : そうなんです!この染料の特長を活かすことで、奥行き感のある立体的な色彩を表現できる可能性が新たに見つかったというわけです。
これまでは、例えば髪全体を赤く染めると、きれいではありますが、均質なモノトーン調の仕上がりになります。しかし「レインボー染料」で浸透深度をコントロールして染めると、女性が髪をかきあげたりする動作や、風で髪がゆれた時に、色が移り変わっていくような不思議な見え方をするわけです。

写真:富士フイルム(株)R&D統括本部有機合成化学研究所研究マネージャー 藤田さん

渡辺 : すごい、、ヘアカラーのこれまでの課題に対する改善だけじゃなく、まったく新しい表現まで創れちゃったんですね!
これ、富士フイルムさんにとっても、協業で得られた、他社の視点からの新鮮な発見という印象でしょうか?

藤田(富士フイルム) : そうですね。我々は4万種を超える染料ライブラリーを持っており、写真やディスプレイで様々な色のコンロトールに慣れていましたが、髪の毛の奥行を含めた色のコントロールというは初めての発見でした。創った染料の思いもよらない特長をみつけてもらえたことをとても嬉しく感じていますし、深度による色彩のコントロールを他の分野に応用するとどうなるだろう?という好奇心もありますね。

  • 富士フイルムのコア技術について

VISION [ 将来展望・導入事例 ]

「レインボー染料」の製品化と、将来展望について

写真:富士フイルム(株)ファインケミカル事業部マネージャー 五所さん

渡辺 : 毛髪の新しい美しさを実現するカラーリング技術の研究・開発を花王さんと富士フイルムさんとで成功されたわけですが、実際の製品化に際して、大量合成の手法なども、ビジネスパートナーとして両社は力を合わせていかれたのですよね?

飯島 : 性能確認・安全性評価を終了し、赤・青・黄色の三原.色が揃った時に、いよいよ製品化に向けての準備になりました。その際、高品質な染料を大量に合成する必要がありました。正直申し上げまして、それを迅速に実現できるのは富士フイルムさんしかいないということで、2013年秋に再びお願いしに伺ったのです。ただ、すでに2015年春に商品化の計画でしたから、今思えば大変なお願いをしてしまいました。笑

渡辺 : 期限が迫っている中で、高純度の大量合成法を確立しないといけないんですよね!コストの面とか、解決する課題も多そうなミッションですね、、、! これって、開発から製品化まで、どれくらいの方が関わっているのでしょうか?

五所 : 2014年が事業化・製品化の最も大事な時期で、ピーク時には総勢30名が関わりました。
この時、合成技術、生産技術、法務、知財、経理…様々なタスクを持つメンバーがチーム一丸となって、事業化の為の社内合意形成や花王さんとの契約を進めつつ、花王さんの要求品質に合致した染料を指定期日内に必要量提供できるように、短期間でプロジェクトをすすめました。

石綿 : 品質の中には、安全性という点で、製造物に混入する副生成物を制御する反応条件を探らないといけない。いつも思っていることですが、自分の子供が安心して使えるような、高品質なものを絶対につくるぞという想いも、目標を達成する大きなモチベーションでしたね。

写真:プロジェクトメンバー(2014年当時)

写真:レインボー染料で染められたサンプル

藤田 : もともと富士フイルムの主力製品だった写真フィルムは現像されて、写真として、お客さまの手に届いて初めてその商品の性能が発現するということで、染料に限らず、化合物の品質、純度も非常に厳しく管理してきました。今回は弊社グループの製造会社も一緒に短期間で3色同時に大量合成法の確立を進めました。

渡辺 : 3色同時に!ものすごい大変そうですね、、、!
あちらにあるボードが、レインボー染料で染められたサンプルなのでしょうか?

飯島 : はい。上が一般的なヘアカラー染料で染めたもの。下が、レインボー染料で染めたサンプルになります。

渡辺 : わぁ、全然ちがいますね!すごくキレイ。こんなにいろんな色が表現できるんですね!

写真:欧米での「レインボー染料」使用イメージ

飯島 : 「レインボー染料」は高彩度の赤・青・黄色の三原色が揃っているので、混ぜる比率を変えることで、目的に応じた色の調整が自由にできるわけです。例えば、暗い色の髪を明るくした際に出てくるオレンジの色味を、青の染料で打ち消すことで、きれいなブロンドを維持することや、高彩度でファッション性の高いカラーリングが実現できるようになります。

渡辺 : 今回の「レインボー染料」まずはファッションの専門家である欧米を中心としたサロン向けに提供するとうかがっていますが、家庭でも使えるように今後展開していただけると嬉しいです!私も母の白髪染めを手伝ったりすることがあるので、日本でももっと身近に使えるようになったらいいなと。

飯島 : 将来は、より多くのお客様が安心してご使用になれるように考えていきます。一般的なお客様がご自身でお使いいただく場合は、サロンの美容師さんと違い、ヘアカラーを塗る技術において、慣れている方から初めて使う方までいらっしゃいますので、誰でも簡便にお使いいただける仕様が必要となります。
またヘアカラーには、髪色を変えて楽しむというファッションとしての役割だけでなく、白髪を染めることへのニーズ、若々しく、自分らしさを保ちたいという気持ちにお応えする社会的役割もあります。白髪染めですと、根元から新しい白髪が生えて目立ってくるので、染める頻度も高くなりますね。
そういった全ての方に、染まりムラなどの失敗、肌が染まってしまうといった不安、そうした心配がなく使っていただける製品を目指すという意味では、「レインボー染料」を使ったカラーリングの技術開発はスタートラインに立ったばかりだと思っています。最終的には、サロンだけでなく、ご家庭でもお使いいただける商品にまで展開することで、世界のヘアカラー市場を変革したいという大きな目標も、富士フイルムさんと共有させていただいています。

リリースページ(花王)

渡辺 : 今後の開発も富士フイルムさんと協力していくのですね!
では最後にみなさま一人ずつ、今回の協業についてのまとめの言葉をいただけますでしょうか。

石綿 : 毛髪用染料は初めて手掛けましたが、美の追求に加え、安全で安心して使えることに決して妥協しないという同じ目線の元、花王さんと1つのチームとしてしっかりコミュニケーションを重ねていけたので、研究は非常に円滑に進んだと感じています。
真摯にいい技術を作ることが、他社の視点を通すことで新たな発見があるということも今回分かったので、これからも常に高い品質のものづくりをやっていれば間違いないなと感じました。

藤田 : 今回、花王さんの“安心して楽しめるヘアカラー”を作りたいという熱い想い、それをしっかり我々にも分かりやすい言葉で伝えてくれたからこそ、多くの人間がこのプロジェクトに熱心に取り組み、達成できた成果だと思ってます。
また、花王さんと富士フイルムが、同じ目線で技術論を交わせたというのも新しい発見につながった大きなポイントかなと。
花王さんとお話していると大きな夢を見させてもらうことが多いですので、今後この分野に限らず、またお互いの技術を切磋琢磨して新しい可能性を広げていきたいなと強く思っています。

飯島 : 新しいカラーリング技術を商品に活用できたということで、一つの目標は達成できたわけですが、ヘアカラーの根本的・本質的な課題はまだ多く残っており、5年後、10年後を見据えてどう解決していくのか、その大きな夢に向かい、引き続き富士フイルムさんにご支援いただきたいと思っています。
今回の協業を通して、あえて研究所にフォーカスすると、富士フイルムさんと花王の中で、非常に強い共通の考え方、DNAがあると感じています。それは、対象を本質的に理解していくこと、また物性の制御を緻密・精密に行っていく、研究としての真摯さかと思います。そしてその姿勢が、高い創造性へとつながっていく。それはすなわち、モノづくりへの強いこだわりだと思います。
他社さんではありながら、石綿さんもおっしゃっていたように、1つのチームとして機能しているという感覚が常にあります。日本の連合として、これからも両社でやらせていただくことで、非常に大きな、夢のある商品やサービスを作っていけるのではないかと確信していますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。

五所 : 今回の協業を通して感じた花王さんのすばらしいところは、情報をオープンに共有していただけたことです。
2013年秋の取引契約前の段階で、花王さんの研究所のビジョンも共有していただきました。例えば、欧米のサロンから、この新しいヘアカラーの価値を広めていき、技術構築を重ねつつ、やがて世界中のお客様にもひろめてきたい。花王さんの日本とドイツの研究所、サロンの美容師さんがしっかり連携して、染料をどう使いこなして、革新的なヘアカラー製品を世に出していくかも教えていただきました。
だから、富士フイルムはただ「レインボー染料」を生産して提供するというだけではなくて、どんな人が、どの様に染料を使っていくかまでしっかり理解した上で、協業に向けて進めることができたわけです。
我々は「これまでにないよいもの新しく作ろう!」というシーズ思考で動くことが多かったのですが、今回の花王さんとの協働によって、いつもと違う視点や市場にどう応えるかの発想で動きました。このニーズ思考がイノベーションに繋がったと改めて思っています。
今後も花王さんとコミュケーションを重ねながら、より多くのみなさんに技術を通じた美を提供していきたいと思います。
さらに、富士フイルムの保有する素材や化合物を軸に、広く様々な分野に展開して、社会に新たな価値を提供していきたい。今回の様に、他業種の皆さんと共創しながらオープンイノベーションの成功事例を重ねていきたいと思います。

富士フイルムのOpen Innovationの詳細はこちら

渡辺 : 本日はありがとうございました!

※ 部署名・役職・インタビュー内容等は、2017年8月時点の取材内容に基づきます。

インタビューを終えて

渡辺 悠子

今回は、2つの企業が、お互いの持っている技術を高めあい、研究を進めていった先にたどり着いた新しい可能性を知ることができました。この技術・製品は多くの人々の笑顔をつくっていく予感がします!
今後も様々なオープンイノベーションにも注目していきたいと思いました。

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渡辺 悠子[YUKO WATANABE] Age23 理系専門分野:ロボット工学

趣味はアニメ、マンガ、映画、DVD鑑賞、聖地めぐり、カラオケで、スポーツはバレー、テニス、バスケ、長距離走を経験してきました!かなり広く浅く、スポーツ系も文化系もかじっています。「理系・工学系で学んできたことが、リポーターとして活かせることになってとても嬉しいです!精一杯がんばります」

写真:渡辺 悠子[YUKO WATANABE]

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